鑑賞系ペット「カニ」の魅力――捕まえ方、飼い方、注意点をご紹介! 2018.12.03 20:58 UP

近年、空前のペットブームにより、犬や猫をはじめ、ハムスターや小鳥、ウサギ、珍しいものではリスやサル、コウモリなど、ペットになる生き物の種類は多様化してきました。

ペットといえば「コミュニケーションを取りたい」と思う方も多いかもしれません。
しかしたとえば金魚や熱帯魚といったいわゆる観賞魚、ヘビやカエルなどの爬虫類や両生類、いつの時代も熱狂的な人気を誇るカブトムシやクワガタなど、今あらゆる生き物がペットと呼べる時代なのではないでしょうか。

そんな中でも、記者は
・危険が少ない
・鑑賞向き
・騒音の心配ゼロ

という点から、「カニ」を推しています。

当記事では「初めての方でも飼いやすいカニ」と、その飼い方について紹介。生き物と触れあう機会のある小さなお子さんをお持ちの方、人と違った珍しい生き物を飼ってみたい方へ、カニの魅力をお伝えします。

カニってどんな生き物?


カニといえば、恐らく多くの日本人にとって食べ物のイメージが強く、それをペットにするといってもピンとこない方が大半なのでは。
しかし一口にカニと言っても、比較的ペット向きな種類からまったく飼育に向かないものまでその種類は多様です。

ペット向きのカニって?


記者が考える“ペットに向いているカニ”とは以下の条件を満たすものです。

・普段の管理がとてもしやすいこと
・匂わないこと
・あまりお金がかからないこと

カニには大きく分けて「陸に棲む」「川に棲む」「海に棲む」3種類が存在します。
このなかで最も飼育難易度が低いのは「陸に棲むカニ」で、逆に最も高いのが「海に棲むカニ」です。
磯遊びで捕まえたカニを飼うのは、実は難しいんですね。

その大きな理由として
・飼育に海水が必要なこと(カニがいた場所と同じ濃度の海水)
・頻繁な水換えが必要なこと
のふたつが挙げられます。

海で捕まえたカニを飼うとなると、捕まえてきた場所と同じ濃度を持つ海水を作らなければなりません。
しかしこの作業は子供はおろか、大人であってもとても難しいものです。まず濃度ってなんだよ、均一じゃないのかって話ですよね。
おまけにエサも水中で食べるので、その食べ残しで水がすぐに汚れます。ろ過させていても、頻繁に水換えしなくてはなりません。この水換えの作業は思いの外、重労働。
川に棲むカニであれば、海水を作る必要はありません。それでもエサは水中ですし、同じように頻繁な水換えが必要で、同じく重労働。

その点においても「陸に棲むカニ」は真水で飼える場合がほとんどで、交換もタッパー内の水を捨てて、新しい水を入れるだけでOKです。お子さんでも簡単に行うことができます。

匂いについてはよく「臭そう」といわれることもあるカニですが、カニそのものにかなり顔を近づけて嗅がなければ分からない程度なので、気になるほどではありません。
また匂いの原因はカニそのものではなく、食べ残したエサなど、腐敗したものが原因である場合が多いのもあまり知られていません。この場合はコバエなどの原因になってしまうので、餌を与えて1日経っても食べていないものはすぐに捨てましょう。

飼うのは初めて!飼いやすいカニは?


陸のカニが飼いやすいのは前述したとおり。では具体的にどんなカニがいるのでしょうか。

🦀①アカテガニ
🦀②ベンケイガニ
🦀③クロベンケイガニ

ここではこの3種類のカニに絞って、順にご説明します。

アカテガニ




「猿蟹合戦」のモデルとも言われるアカテガニは、とても飼いやすいカニです。
樹上棲の傾向も見られ、木にもよく登ります。水辺からは少し離れた場所に出没するのも特徴。近年では生息域が限定されてきており、採集できる場所は限られているのが少し難点ではあります……。
詳しい飼い方については後述の項目「カニを飼うために準備をしよう!」でご紹介します。

ベンケイガニ





アカテガニとおおよそ同じような場所で見られるカニで、赤~オレンジ色の体と、弁慶の顔のようなゴツゴツとした甲が特徴。
見慣れてくれば前述のアカテガニとこのベンケイガニの判別は非常に容易なのですが、初めて見る方には赤いことくらいしか違いが分からず、「アカテガニ? ベンケイガニ? どっち?」と思ってしまうことも。こちらもアカテガニとほぼ同様の飼い方が可能です。

クロベンケイガニ





アカテガニ、ベンケイガニと同じような場所でよく見られるカニで、ベンケイガニをそのまま茶黒くしたような見た目が特徴。ハサミは薄く紫がかっており、先端は白っぽくなっているのも特徴です。こちらも前述のカニたちと同様の飼い方が可能です。

どのくらい生きるの? 寿命は?


前述した3種類のカニはどれも長生きです。
カニは基本的に幼生の「ゾエア」→「メガロパ」という形態を経て、よく知られるカニの姿になります。この期間から数えると10年以上は生きると言われており、飼育開始時に大人の姿でも5年以上生きることは珍しくありません。まだ小さな幼体のカニであれば、10年添い遂げてくれるペットになるでしょう。

カニってどうやって手に入れる? 捕まえ方を紹介


陸に棲むカニでアカテガニ、ベンケイガニ、クロベンケイガニがオススメだということは先述の通りです。
次の問題は「どうやって手に入れるか?」。これは自分で捕まえるか、お店やインターネットで買うかの2通りです。

欲しいカニがお店に必ず売っていればいいですが、売っていない場合は自分で捕獲しましょう。

カニを捕まえに、採集へ!


用意するもの
①バケツ
②スコップ(小型)
③長靴
④ゴム手袋
⑤網
⑥虫除けスプレー

バケツ
必須アイテムです。採集したカニを入れます。
カニが逃げ出さないように、高さのあるバケツに入れるのがオススメです。
ただし沢山入れてしまってバケツ内で共食いなどが起きないよう、定期的に観察しましょう。

ガーデニング用シャベル
潜んでいそうな場所を掘る場合に使います。
掘った後はそのままにせず、元に戻しておきましょう。
それが採集させていただいた場所への最低限の礼儀です。

長靴
水辺などで必要になります。
泥がある場合はできれば長靴を履いて採集活動をしたほうがよいでしょう。

ゴム手袋
汚れから手を守る意味と、カニのハサミで挟まれた際の対策という2つを兼ねています。
カニは背中を横から挟むように持ってあげれば体の構造上挟まれません。しかしカニによって暴れる個体もいるので、うっかり挟まれてしまうことも。
ゴム手袋であれば多少挟まれても我慢できるので、着用して損はありません。


捕獲用に、小型の網もあると便利です。

虫除けスプレー
採集は主に藪のような場所で行うので、
蚊などの対策をするためにも、虫除けスプレーは持ち歩きましょう。

採集時期と場所


冬場は冬眠の時期なので、狙うのであれば4月~9月(気温次第では10月でも可能)です。
陸棲のカニがよく獲れる場所は全国にいくつかありますが、アカテガニやベンケイガニは、水辺が近くにある森や林、あるいは草原がある場所に潜んでいることが多いです。

しかし、ただ闇雲に歩きまわっていては、捕まえることはできません。
狙い目となる温暖な時期、特に暑い夏は、カニは避暑の為に温度の低くなる湿った場所に隠れてしまい、日中に一向に現れないこともしばしば。
この場合、カニが潜んでいそうな岩の隙間や、木の根元、瓦礫の下、排水溝などを虱潰しに探すことになります。発見のコツとしては「水分が多く」「避暑に向きそう」で「隠れ家となりそうな」場所をくまなく探すこと。
簡単には見つからないかもしれませんが、採集中に思いがけない生き物に出会ったり、カニ以外に予想外の発見があるかもしれません。ぜひ採集用具を片手にフィールドワークに出かけてみてください。

採集時の注意点


藪や林、森などで採集を行う際には、カニ以外にもたくさんの生き物がいます。
なかにはヤマカガシやマムシといった危険なヘビが潜んでいたり、ヤマビルに血を吸われていたりという場合もあります。充分注意して歩きましょう。
虫除けの為や不意のケガ防止のためにも長袖・長ズボンが採集に適した格好です。

カニを飼うために準備しよう!


さて、無事にカニを捕まえられましたか? いよいよカニを飼うための準備を始めましょう。
用意するものは以下の通り。

①飼育用のプラケース
②床材
③流木、植木鉢など隠れ家になるもの
④タッパー
⑤カルキ抜き
⑥カトルボーン
⑦温湿度計

この記事で紹介したカニは、これらのものがあれば飼育できます。

飼育用のプラケース
いわゆる「プラスチック製の透明の虫かご」です。
もちろん水槽でも飼えるのですが、ガラス水槽は重く、割れた際に危険です。またケース自体を完全に密閉できないので脱走に対処しづらく、値段もプラケースに比べて高価。
これらの理由から、あまりオススメできません。

プラケースの場合は中型のものであれば500円~、大型のものでも2000円あれば足りるうえ、ケース自体も軽く、ガラスと違って割れる危険も低く、蓋も簡単に締められるといいことづくめ。

床材
土のことですが、自然から持ってくるのはオススメできません。
カニにとって自然界の土が一番なのは言うまでもありませんが、それを管理する人間にとってはどんな病原体が潜んでいるかわからないのです。記者は爬虫類用のヤシガラを使った床材を使用しています。

流木、植木鉢など隠れ家になるもの
自然界で「捕食される側」の立場にあるカニは、普段穴や岩の隙間など狭い場所に隠れています。隠れ家があると驚くほど落ち着きますので、流木や植木鉢を使って隠れ家を作ってあげるといいです。
流木には登ってくれることもあります。立体的な動きも見せてくれるので、観賞の面からみても有用です。

ただし注意点として、流木を足掛かりに脱走を図ることがあるので、流木で組むレイアウトには注意が必要です。
流木は観賞魚を扱う店舗や通販サイトでも取り扱っている場合がほとんどですが、海辺に行けば、流れてきた流木を自分で拾ってくることもできます。

タッパー
いくら「陸に棲むカニ」でも、まったく水に浸からなければ、息をすることができず、窒息死してしまいます。カニはエラ呼吸を行う生き物で、体の中に水を溜め新鮮な酸素を取り込んで呼吸しています。つまりいくら「陸に棲むカニ」でいっても、水がなければ、いずれ息ができなくなってしまいます。
そこまで広い水場は必要ないので、タッパーなどに塩素抜きを施した水を入れておくようにしましょう。
広さの目安はカニのサイズの2.5倍~3倍程度の広さがあれば十分です。
飼育中のカニの死因でも、特に多いのが管理を怠った結果起こる「水切れによる窒息死」です。
餌を1週間程度与えなかったとしても餓死することはまずありませんが、水がなくなるとあっけないほど簡単に死にますので、毎日水位はチェックし、適宜タッパーに水を継ぎ足すようにしてください。

カルキ抜き
水道水には雑菌を除去するために塩素が混ぜられています。
人間にとって水道水を飲むことは大きな問題にはなりません。しかしカニにとっては、死活問題です。

水道水の塩素を抜く方法は2つあり、
・バケツに汲み置きした水を1~2日程度天日干しして、塩素を揮発させる方法
・塩素を抜くための薬「カルキ抜き」を使用する方法
が代表的。

カルキ抜きは数百円から販売されています。これを購入して使用法を守り、使うとよいでしょう。

カトルボーン(カットルボーン)
カトルボーンとはイカの甲のことです。本来は小鳥などの健康維持食品なのですが、
カニも同様に外殻を健康に保つために、カルシウムの補給が必要です。
カトルボーンはカニにとってかなり大きいので、ハンマーで砕いて餌と一緒に置いておくか、穴をあけて吊るしておくようにしましょう。

温湿度計
管理を行うためにも温湿度計は必要です。
前述した3種類のカニはどれも日本に生息しているカニですので、大きな事故が起こることはありませんが、
それでも「脱皮」に適した環境のチェックの指標とし、見る場合もありますので設置しておきましょう。

以上のものがあれば、当記事で紹介したカニはすべて飼うことができます。

観賞用の植物を植えるなど、レイアウトにこだわりたい方もいるかもしれません。ですがカニは至る所を掘るので、長くはもちません。入れておくのであればカブトムシやクワガタ用の落ち葉などの方が、隙間に入って隠れることもできるので、オススメです。

餌はどうする?


こちらの記事で紹介した3種類のカニはすべて雑食性で、
人間の食べ物から、ミミズや昆虫といった生き物まで、大体食べます。

特に調理後に出る野菜クズなどは、本当によく食べます。
動物性の餌も欲しいところですので、熱帯魚用に販売されている「乾燥アカムシ」なども定期的に与えつつ、後述のカトルボーンでカルシウムも管理してあげれば、健康的な長期飼育ができます。エサは、2~3日に一度「少し少ないかな?」程度に与えるとよいでしょう。

さあ、これでカニを飼うための用意は整いました。いざカニをケース内に放して飼育を始めてみましょう!

カニを飼うときの注意点って?


さて、ここからは「飼ううえでの様々な注意点について」です。

脱走
カニはかなりの「脱走名人」です。
「え? どうやって逃げたの?」と思うほど、色々なルートで逃げ出します。
脱走を防ぐ為には

・カニが通れるような隙間を作らないこと
・流木などのレイアウトに気を付けること

が非常に大切。
逃げた瞬間を見ていて、どこに逃げたか分かるような場合はともかく、大抵は飼い主が気づかない間に逃げ出しているので、そうなってしまっては連れ戻すのは至難の業です。
カニにとっては「脱走=死」を意味します。蓋の締め忘れなどには充分注意しましょう。ほんのわずかな時間でも開けっ放しにせず、作業時以外は締めること。これが大事です。

水切れ
次に、管理を怠るとよく起きるのが「水切れ」です。
毎日水位を確認してその都度継ぎ足せば、水切れは起こりませんが、カニにばかり構っているわけにもいかず、気付いたら水位がかなり下がっているというのは本当によく起きる話。最低でも2日に1回は水位を確認するようにしましょう。

共食い
複数のカニを同一の空間で飼うことで起きるのが「共食い」です。
餌をきちんと与えていても、全匹分の隠れ家をきちんと用意していても、起きるときには起きてしまいます。複数飼いの場合は防ぎようがない問題なので、「1ケースに1匹」のルールを守って共食いを防ぎましょう。

脱皮
カニが成長の過程で必ず行う行為に「脱皮」があります。
昆虫やカニなどの甲殻類は、骨がいわば外骨殻という形でむき出しになっているので「脱皮」をする必要があります。脱皮する生き物にとって、脱皮はまさに「命懸け」の行為。失敗すると最悪の場合、死亡します。

失敗の原因には、主に「飼育環境の問題」「エサの問題」「共食いの問題」があります。
「共食いの問題」については、脱皮中に襲われて食べられてしまうという問題です。これは複数飼いをやめることで防げます。しかし「飼育環境の問題」と「エサの問題」は難しく、特に「環境の問題」については、温湿度や床材である土の問題など様々な要因があるので、失敗の原因を特定するのは難しいことです。
「エサの問題」とは、例えばいつも野菜くずしか与えていなかった結果、栄養が偏ってしまい、脱皮に必要な栄養が足りずに起こる、といった問題です。これについてはまんべんなく色々な餌を与えることで解決できます。

殺虫剤
ゴキブリなどの害虫を駆除する時に使われる殺虫剤ですが、カニにもダメージがあります。
蚊を駆除するために使われる電気式蚊取り機などは死に直結するほどの威力はありませんが、ダメージがないとは言い切れません。
可能であれば殺虫成分のある場所からは遠ざけるのがベターですが、コバエの発生を抑制するためにも、電気式蚊取り機は稼働させておいても多少距離を置いておけば問題はないかと思います。

触りすぎ
犬猫のような愛玩動物とは違い、カニは観賞魚や昆虫のような「観て楽しむペット」です。
スキンシップができるタイプの生き物ではありませんので、注意が必要です。身体の小さいカニにとって、人間が頻繁に触りすぎてしまうとストレスで死期が早まります。
また不用意に触ると「自切」といって、ハサミや脚を切り離す(もちろんダメージがあります)行動をとりますので、あまり干渉しすぎず、そっと眺めるようにしましょう。

最後に


カニ犬や猫などの愛玩動物のようにコミュニケーションが図れる生き物ではありませんが、
「観賞するタイプの生き物」がお好きな方にはきっと向いているであろう、カニ。
愛情を注いで世話をすることで、少しずつですが人にも馴れ、よく姿を見せてくれるようになったり、手渡しで餌を食べてくれるようになりますよ。

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